グループホーム・認知症デイサービス  ぶどうの樹 城戸 由香里

2019年5月31日

医療法人城戸医院
グループホーム・認知症デイサービス ぶどうの樹
施設長: 城戸 由香里

福祉心理士が必要とされる認知症介護の現場

 当施設は、福岡県筑後市に2007年10月にオープンした小規模多機能型施設である。ぶどう畑に囲まれたのどかな環境の中、1ユニット(9名の入所)のグループホーム、ふたつの認知症専門デイサービス(各12名の定員)、そして、5部屋の宅老所から構成される認知症高齢者の専門施設と言える。

私の一日は①第2の我が家のホーム、②生きがいのあるホーム、③開かれたホーム、④家族とひとつになれるホーム、の4つの理念を元気よく職員と朝礼で唱和することから始まる。朝礼は職員全員の元気な笑顔と適度な緊張感を確認する大切な時間である。彼女にふられたり、夫婦げんかで元気のない職員もいれば、認知ケアに行き詰まり悩んでいたり、提出書類の締め切りや行政の監査によるストレスで切迫した表情の職員もいる。これからはじまるケアの現場で認知症高齢者にそんな姿は見せられない。短時間で職員たちのモードを切り替える手伝いをする大切な時間である。

そうこうしていると、高齢者を乗せたバスが到着する。ぐるっと見回し、不安そうな表情や機嫌のよろしくない高齢者を見つけると、個別のお茶会をしてそのつらい想いを職員と一緒に聞いてみる。家族のことや、家に帰りたい、自分が何もわからない、馬鹿になっていく、悩みは様々だ。 高齢者が苦しいときはその家族も苦しいことが多い。施設への家族の突然の訪問や電話から介護疲れで一触即発な状態では、と推測されることもある。とにかくそんな時は、宅老所を利用してもらい、レスパイト・ケア(介護者の休養)を勧める。そこから介護者家族はこれからも在宅介護なのか、入所に移行するのか考えることを始める。

職員、認知症高齢者、その介護者家族と、どの人たちにも話を聞く人が必要であるが、解決するのはそれぞれ自分自身である。私の役目はいち早くまわりの人の黄色信号に気づき声をかけることである。それは、施設内外問わず地域の人たちにもそうでありたい。誰にでも気軽に認知症について相談できる関係づくりのひとつとして、毎月、「癒しの日」(無料マッサージ)、手造りお菓子と歌や踊り、楽器演奏などのステージでおもてなしする喫茶店「ぶどうの喫茶」の日、介護保険や車椅子体験などの講習会を行う「ぶどうの樹サロン」を地域住民対象に催している。

< 大阪府地域生活定着支援センター 益子 千枝

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