日本福祉心理学会第18回大会
『いまこそ 福祉心理学と―あらたな心観(こころみ)―』
2020年10月吉日
日本福祉心理学会第18回大会準備委員会
大会準備委員長 米川和雄
日本福祉心理学会第18回大会の開催を 2020 年 12 月 5 日(土)、6 日(日)の 2 日間、4日(金)の準備研修や理事会を含めれば3日間をオンラインでお引受けすることになりました。本来は東京都内にある帝京平成大学にて開催予定でしたがCOVID-19の影響により対面での実施の困難性から急遽小規模ではありますが学会員や福祉・心理現場の方々を少しでも応援できるようオンラインでの実施へと至りました。
オンライン大会を開催するにあたり、当初、今大会では各行事の実施を断念しておりましたが、福祉心理士会や各委員会のご協力のもと、小規模ではありますが、講演等の実施が可能となりました。オンラインならではの招待講演も実施します。
これまで、本学会のテーマは福祉心理学の基盤性を表明するものが続いていました。例えば第17回大会「ひとの一生を支える福祉心理学」などです。しかし、本大会では、これまでにない世界情勢を踏まえ、心理学の方向性が一部変貌しうる状況に至っていることから『どのような心理学が福祉とともにあるべきか』について、これまでの基盤を基に再考する場とすべく「いまこそ福祉心理学と」という問いかけにも模したテーマとともに新たな時代へと向かうべく副題として『新たな心観(こころみ)』を付しました。
副題には深い思いが込められています。一つ目には、これまでにない方法での学会への試みがあることです。オンラインでの実施は本学会では初めての試みであり、様々な当日の不具合も想定されます。しかし、学会員や福祉従事者のみなさまへの今後の持続的な寄与を考えたときに、果敢に新たな学会運営を検討する今大会の意義は大きいと考えました。そのため今大会では参加費を無料としたこともあり、ご不便をおかけする点も踏まえ、学会員の皆様等によるお力添え(皆様の回線整備含)も大いに募るものでもあります。
二つ目には、オンラインだからこそ、オンラインにしかできない学会にしようという試みです。わが国は、諸外国と比べればCOVID-19への対処はまだよいほうではないかと言われることがありますが、まだまだ予断を許さない状況です。そこで、感染者や死者数が多く、大統領でさえ感染したとされるアメリカにおける心理学や福祉の分野では、いま、どのような観点が求められているかを知ることは、我が国における福祉心理学の視野を少しでも広げることにつながるのではないかと考えました。そこで、今大会では、オンラインだからこそつながることができるアメリカの複数の専門職を招待します。
三つ目には、新たな学会大会のあり方を構築するために学会内福祉心理士会・委員会とも協力し合うという試みです。これまで単体での実施となっていた各委員会のワークショップ等ですが、今回は緊急的な対応ということもあり、準備委員会と協力し合い、「いまこそ福祉心理学と」ともに歩めるテーマを設定しました。例えば、福祉心理士会との協同により「公認心理師における福祉心理士のあり方」として会員と共に検討する場や「社会福祉士養成課程における教育内容の見直し」として新たな制度の方向性を確認する場等の他、学会のさらなる発展を意図して組織された学会大会・研修会企画委員会との連動企画などがあります。
以上を踏まえ、今大会では、前述したように会員、並びに福祉・心理現場において日々奮闘されている従事者の皆様を少しでも応援できる場にしたいと思っています。そして、福祉心理学に関わるわが国を超えた方々と集うことにより、あらたな福祉心理学の本質を観る機会になれることを願っています。