2023年10月12日
日本福祉心理学会理事長に就任して
中山哲志
平成15(2003)年、心理学、社会福祉学、医学、教育学などの各方面から研究者や実践家が集まり、専門分野を超えて、「福祉のための心理学」の研究、実践を推進させる日本福祉心理学会がスタートしました。
学会の創立から約20年が経過した今日、当時の社会環境や社会情勢とは異なりますが、社会福祉の充実が強く求められています。本学会は、一人ひとりの尊厳を守り、とりわけ弱い立場に置かれがちな対象者のウェルビーイングの実現を目指す学会としてますます発展していく必要があります。
社会情勢の変化は激しく、少子・高齢化や生産人口の減少など、家族をはじめ社会構造の在り方が大きく変動する中で様々な生活問題や課題が次々に生じています。貧困問題、いじめやひきこもり、人々のつながりの希薄化、新型コロナ感染症、自然災害など、新たに出現してくる課題に対しても、社会福祉の充実がよりいっそう図られる必要があり、本学会は対象者をはじめ関係者へのケアや支援に貢献する役割が求められています。
本学会には研究者のみならず、種々の現場で日々活躍されている会員の皆様が多くおられます。学会創立時より、学会活動が目指してきたのは、厳しい現実に向き合っている福祉現場の実践から学び、その実践をより充実したものにするための研究、支援でした。現場との協働で福祉心理学の研究、実践をより推進、充実させていくことが重要となってきました。
日本福祉心理学会のますますの発展がわが国の社会福祉の充実には欠かせないものとなっています。そのためにも、学会の会員の皆様とともに、学会活動を通じて共に学び、本学会をより素晴らしいものにしたいと心より願っております。皆様どうぞよろしくお願い申し上げます。