福祉心理学に期待する私の思い

2016年6月30日

金城 悟(東京家政大学 短期大学部 保育科) kinjo@tokyo-kasei.ac.jp

新しい資格「准福祉心理士」について

2016年度から准福祉心理士という新しい資格が認定されることになりました。准福祉心理士は,学校教育法に定められた専門学校、短期大学の卒業生で学会が定めた指定科目を履修し、合計32単位以上を修得し卒業したものを対象とします。資格認定の結果、認定されたものは准福祉心理士の資格が取得できます。教育機関卒業後、2年制の場合、社会福祉施設等で2年以上の実務経験を経たもの(3年制の教育機関の場合は1年以上)は指定書類が提出され認定されると福祉心理士の資格が取得できます。准福祉心理士の資格認定に伴い,資格申請の類型もこれまでの4類型から6類型へ変わりました。

これまで専門学校,短期大学の卒業生は社会福祉施設等での実務経験が3年以上という条件をクリアしないと福祉心理士の資格申請ができませんでした。卒業後に准福祉心理士の資格を取得すると2年制の教育機関卒業生の場合,学業2年+実務経験2年で4年制の大学卒業生と同等の期間で福祉心理士の資格を取得することができます(注)。専門学校,短期大学卒業後に准福祉心理士という学会認定の資格が取得できるため,在学中の福祉心理学関連科目学修への動機づけや学修効果の向上,卒業後の将来の職種に対するイメージの具体化・明確化につながるものと期待されます。

福祉心理士会のみなさまの身近に専門学校,短期大学へ進学予定の高校生や在学中の学生がいましたらぜひこの新しい資格についてご紹介いただければ幸いです。

※(注)准福祉心理士の資格を取得しない場合はこれまで通り3年以上の実務経験が必要です。

養成教育機関制度について

2016年度から養成教育機関認定制度がスタートする予定です。養成教育機関認定制度は、福祉領域における心理的支援の専門家である福祉心理士の専門的資質の向上を図る目的で本学会の定めた要件を満たした専門学校・短期大学・大学・大学院を対象に養成教育機関として認定する制度です。

認定される養成教育機関は学校教育法に基づく大学、大学院を対象とした「福祉心理士養成教育機関」と短期大学、専門学校を対象とした「准福祉心理士養成教育機関」の2つになります。養成教育機関は福祉心理士及び准福祉心理士の資格取得要件である学会指定の科目を取得できることが条件となります。

認定希望の教育機関は所定の申請書類を本学会へ提出し、認定申請の申し込みを行います。申請書類は、本学会の福祉心理士資格認定委員会において審査され、審査結果が常任理事会に提出されます。常任理事会において再度審査が行われ、3分の2以上の賛成が得られた場合、「福祉心理士」養成教育機関、または「准福祉心理士」養成教育機関として認定されます。認定された養成教育機関は本学会に登録され、認定証が発行されます。

養成教育機関制度における資格申請の主なメリットとして,①認定審査料(20,000円)の無料化,②教育機関による一括申請,③卒業見込みによる申請が可能の3点があげられます。個人申請の場合は卒業後の申請となりますが、養成教育機関の場合は卒業前に申請ができます。福祉心理士養成教育機関においては、3年次以降、指定科目の単位を習得したものは福祉心理士(仮認定)が取得できます。

現在,養成教育機関認定制度は福祉心理士資格認定委員会を中心に整備が進められています。本制度により福祉心理士の裾野がさらに広がることが期待されます。今後,福祉心理士会と連携しながら福祉心理士資格取得後の研修制度の充実など基盤整備も推進していく必要がございます。福祉心理士会のみなさまのご支援・ご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

金城 悟先生のプロフィール:専門:児童家庭福祉、保育相談

保育者養成に携わって30年近くが経ちました。この間,少子化の進行,児童虐待数の増加,児童家庭福祉行政の整備の遅れなど子どもたちを取り巻く環境は年々厳しくなっていると感じております。福祉心理は子どもをまもり幸せにするアプローチをもつ実践的学問と理解しています。福祉心理学の進化を願ってやみません。

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